むかしむかし、ここではないどこかにウサギの兄妹が居ました。
まだこどものウサギでした。縄張り争いの厳しい昨今、生きていくのは大変です。ウサギが住むには似つかわしくない水辺の巣穴が彼らを護ってくれました。大事な巣穴が荒らされないように、ウサギなりに戦って生きてきました。白い毛皮は目立つので兄ウサギは泥で汚して野ウサギに擬態し、そうしてなんとか立派な野良ウサギとして隠れ住んでいるのです。
2人きりの生活はとても心細いものでした。
兄は先のことを考えては、自分たちを放り出した大人たちを恨めしく感じます。
「おまえが居るから淋しくないよ。」
口ではそういいますが、その実、妹がとっても心細く思っていることもわかっています。淋しくないとそう言えば言うほど寂しくなります。本当はとてもとっても淋しいのです。
さてここにキツネの子がいます。
このキツネの子は何年か前に会った泥ウサギの事を忘れられないで居ます。
キツネの子は野ウサギに聞きました。
「知らないよ。私達はアンタとは友達にならない。」
野ウサギは言います。
何年も前の事にしても、キツネの子の言い分はおかしい、と。
「だって。」
キツネの子は言います。
「ぼくたちホントに友達になったんだ。」
野ウサギは呆れるばかりです。
キツネは単独行動が基本です。
友達を作る習慣はありません。
だから、‥‥気がつけないのです。
自分がとっても淋しい事に。
三日も雪が降り続き、キツネはひとりぽっちで過ごしました。
毎年のことで。あたりまえのことです。
キツネは独りでいいんです。
雪を踏みしめ歩いている時、ふと思い出しました。自分がウサギに会ったのはこんな日でした。もう一度会えたら。
キツネはいろいろ考えます。けれどキツネはウサギのことなど何も知りません。どうしたらウサギが喜んでくれるのか、キツネにはまったくわからないのです。
それでも。キツネは願います。
あの日のウサギにもう一度会いたいと。
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え?‥‥ここでおわり?
なんかこのままめぐり合わないままのほうが幸せな気もしてきた。
つか、コレ堂々とギアスって言い切れるギアスってすごい。